韓国の「ホワイト国」からの除外が8月2日にも閣議決定される方針ですが、ホワイト国除外によって具体的にどのような品目で影響を受けるのでしょうか。
ホワイト国とは?
ホワイト国の簡単な説明
まず貿易の大前提として、各国は「大量破壊兵器等の開発・製造」に使われる可能性のある製品を危険な国に流さないように輸出チェックをしないといけません。
チェックが必要な品目については、各国の合意のもと「規制対象品目リスト」で定められています。
日本では「規制対象品目リスト」のをもとに輸出管理を行っています。これを「リスト規制」といいます。
「規制対象品目リスト」には武器、原子力、化学兵器、生物兵器、ミサイルなどがります。
しかし「リスト規制」には問題もあります。「規制対象品目リスト」に載っていない製品でも軍事転用可能なものが存在するからです。
つまり「リスト規制」だけではすべての製品を網羅できないのです。
そこで「規制対象品目リスト」になくても、軍事転用の可能性があるもについてもチェックしようという国内の規制が別にあります。これを「キャッチオール規制」といいます。
ここで出てくるのが「ホワイト国」です。
ホワイト国に指定されていると優遇措置として「キャッチオール規制」の対象外となります。
つまり、第三国に横流ししたりしない信頼できる国については輸出管理を簡素化しましょうという制度です。
ホワイト国に指定されている国
日本では以下の「27か国」をホワイト国と指定しています。
ヨーロッパ(21か国)
・イギリス
・イタリア
・オーストリア
・オランダ
・ギリシャ
・スイス
・スペイン
・チェコ
・デンマーク
・ドイツ
・ノルウェー
・ハンガリー
・フランス
・ブルガリア
・ベルギー
・ポーランド
・ポルトガル
・ルクセンブルク
南北アメリカ(3か国)
・アメリカ合衆国
・アルゼンチン
・カナダ
アジア(1か国)
・韓国 (除外予定)
オセアニア(2か国)
・オーストラリア
・ニュージーランド
ホワイト国除外で影響を受ける品目
貿易をする際に名称・分類を世界的に統一したHSコード(統計品目番号)というものが定められています。
日本ではHSコードのうち、次のものが「キャッチオール規制」の対象となっています。
つまり「ホワイト国」から除外されると、これらの品目で輸出管理が厳しくなります。
キャッチオール規制 対象品目
第5部 鉱物性生産品
第25類 塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント
第26類 鉱石、スラグ、及び灰
第27類 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう
第6部 化学工業(類似の工業を含む)の生産物
第28類 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同位元素の無機又は有機の化合物
第29類 有機化学品
第30類 医療用品
第31類 肥料
第32類 なめしエキス、染色エキス、タンニン及びその誘導体、染料、顔料その他の着色料、ペイント、ワニス、パテその他のマスチック並びにインク
第33類 精油、レジノイド、調製香料及び化粧品類
第34類 せっけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤、人造ろう、調製ろう、磨き材、ろうそくその他これに類する物品、モデリングペースト、歯科用ワックス及びプラスターをもととした歯科用の調製品
第35類 たんぱく系物質、変性でん粉、膠着材及び酵素
第36類 火薬類、火工品、マッチ、発火性合金及び調製燃料
第37類 写真用又は映画用の材料
第38類 各種の化学工業生産品
第7部 プラスチック及びゴム並びにこれらの製品
第39類 プラスチック及びその製品
第40類 ゴム及びその製品
第11部 紡織用繊維及びその製品
第54類 人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及びストリップその他これに類する人造繊維製品
第55類 人造繊維の短繊維及びその織物
第56類 ウォッディング、フェルト、不織布及び特殊糸並びにひも、綱及びケーブル並びにこれらの製品
第57類 じゅうたんその他の紡織用繊維の床用敷物
第58類 特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、トリミング及びししゅう布
第59類 染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維の織物類及び工業用の紡織用繊維製品
第63類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品及びぼろ
第13部 石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品、陶磁製品並びにガラス及びその製品
第68類 石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品
第69類 陶磁製品
第70類 ガラス及びその製品
第14部 天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張った金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣
第71類 天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張った金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣
第15部 卑金属及びその製品
第72類 鉄鋼
第73類 鉄鋼製品
第74類 銅及びその製品
第75類 ニッケル及びその製品
第76類 アルミニウム及びその製品
第77類 (欠番)
第78類 鉛及びその製品
第79類 亜鉛及びその製品
第80類 すず及びその製品
第81類 その他の卑金属及びサーメット並びにこれらの製品
第82類 卑金属製の工具、道具、刃物、スプーン及びフォーク並びにこれらの部分品
第83類 各種の卑金属製品
第16部 機械類及び電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品
第84類 原子炉、ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品
第85類 電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品
第17部 車両、航空機、船舶及び輸送機器関連品
第86類 鉄道用又は軌道用の機関車及び車両並びにこれらの部分品、鉄道又は軌道の線路用装備品及びその部分品並びに機械式交通信号用機器(電気機械式のものを含む)
第87類 鉄道用及び軌道用以外の車両並びにその部分品及び附属品
第88類 航空機及び宇宙飛行体並びにこれらの部分品
第89類 船舶及び浮き構造物
第18部 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療用機器、時計及び楽器並びにこれらの部分品及び附属品
第90類 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器及び医療用機器並びにこれらの部分品及び附属品
第91類 時計及びその部分品
第92類 楽器並びにその部分品及び附属品
第19部 武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品
第93類 武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品
品目全体については以下を参照ください。
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商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約 - Wikipedia
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これらの品目はあくまでも大枠であり、さらに各品目の中に細かく製品が存在します。
つまり実際にはここに記載されている品目以上に影響が及ぶことになります。
その影響は「1000品目以上」に拡大するとの見方もあります。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201907/CK2019072702000128.html
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以上