『袴田事件』と聞いたことのある方も多いでしょう。
事件の名前にもある通り、「袴田巖」氏が事件の中心人物として世の中を騒がせました。
今回、ローマ法王が来日する際に、「袴田巖」氏と面会する方向で調整が行われているとのことです。
非常に大きな事件となった理由、「袴田巖」とはどんな人物なのか振り返っていきます。
「袴田巖」氏とは?
【氏名】袴田 巖(はかまだ いわお) 【生年月日】1936年3月10日(83歳) 【経歴】プロボクサーとして、全日本フェザー級6位 世界ボクシング評議会名誉チャンピオン |
1959年11月にプロデビューし、全戦績は29戦16勝(1KO)10敗3分で、年間19戦は日本最多記録を誇っています。
1961年5月、身体の不調のためプロボクサーを引退後、有限会社王こがね味噌橋本藤作商店(1972年に「株式会社富士見物産」と改称)に就職しています。
『袴田事件』どのような事件?
1966年6月30日に、有限会社王こがね味噌橋本藤作商店の専務宅で、強盗放火殺人事件(袴田事件)が発生しました。
8月18日容疑者として静岡県警察に逮捕され、当初は無実を主張したが、警察の取調べに耐えかねて自白をして調書を取られました。(自白調書は1通を除いた44通は裁判所で証拠採用されなかった)。
公判では一貫して無実を主張しましたが、1980年12月12日、最高裁判所で死刑確定しました。
弁護団による2度の再審請求などを経て、2014年3月27日、静岡地方裁判所が再審開始と死刑及び拘置の執行停止を決定し、東京拘置所から釈放されました。
同年3月31日、静岡地方検察庁が東京高等裁判所に即時抗告。2018年6月11日、東京高裁は再審開始を認めない決定を出しました。
東京高裁は拘置の執行停止は取り消さなかったため釈放は維持されましたが、袴田氏は現在なお死刑囚のままの状態です。
死刑囚にして、釈放が認められている極めて稀な例となっています。
なぜローマ法王と面会する予定?
ローマ法王は「死刑廃止」を提唱しています。
現在日本では「死刑制度」が採用されており、凶悪犯罪を起こさないための抑止力として機能しています。
死刑撤廃を提唱している法王からすると、日本の死刑制度にも注目しているようです。
死刑囚として認定されながらも、釈放されている「袴田巖」氏は極めてまれな存在で、貴重な意見を得ることができる人物でもあります。
面会で死刑制度の在り方、必要性などについて意見を交換することが予想されます。
最後に
現状、袴田氏との面会は調整段階のため、実現するかどうかは分からない状態です。
世界的には死刑制度廃止の方向で進んできていますが、面会が実現すれば、日本の死刑制度に注目が集まることでしょう。
ただ、海外の意向が「死刑制度廃止」に向かっているからとはいえ、安易にその波に乗るわけにもいきません。
2014年の日本の世論調査では、「死刑を廃止する方がよい 37.7%」、「 死刑を廃止しない方がよい 51.5%」「わからない・一概には言えない 10.8%」と、過半数以上が死刑制度維持を望んでいます。
実際に死刑制度があることで、凶悪犯罪の抑止力となっていることは間違いないでしょう。
今後の死刑制度の在り方について注目していきたいです。